「警備員が足りない」を、公的データで検算する

まず、この記事の要点

保安職業従事者の有効求人倍率は5.85倍。有効求人9万3,473件に対して有効求職1万5,980人です。パートを除くと6.05倍、新規求人倍率は9.39倍。介護3.70倍やドライバー2.42倍と並べて確認できます。

根拠と詳しい説明へ

筆者は警備の仕事をしていません。本記事は厚生労働省が公表している統計を確認・整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

介護やIT、ドライバーの人手不足は話題になりますが、警備はあまり取り上げられません。

実際の数字を見ると、警備を含む「保安職業従事者」の有効求人倍率は5.85倍でした。当サイトが同じ統計から確認した20区分の有効求人倍率は0.28倍から7.85倍の範囲に分布していて、保安より高い値が出ているのは建設躯体工事従事者の7.85倍と土木作業従事者の5.97倍です。

保安職業従事者 5.85倍 有効求人93,473件 ÷ 有効求職15,980人
全職業の平均 1.01倍 有効求人2,020,228件 ÷ 有効求職2,002,441人

全職業の1.01倍に対して約5.8倍。求職者1人に対して求人が約5.8件ある計算です。

「人手が足りない」という説明は、この職種では数字と一致します。

保安職業従事者の有効求人倍率は5.85倍。介護3.70倍・ドライバー2.42倍より高い水準です

  • 建設躯体工事従事者 7.85倍
  • 土木作業従事者 5.97倍
  • 保安職業従事者 5.85倍
  • 建築・土木・測量技術者 4.96倍
  • 建設・採掘従事者 4.80倍
  • 機械整備・修理従事者 3.81倍
  • 介護サービス職業従事者 3.70倍
  • 医療技術者 2.92倍
  • 自動車運転従事者 2.42倍
  • 接客・給仕職業従事者 2.30倍
  • 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
  • 飲食物調理従事者 2.19倍
  • 営業職業従事者 2.01倍
  • 保健師,助産師,看護師 1.86倍
  • 製造技術者(開発) 1.81倍
  • 情報処理・通信技術者 1.33倍
  • 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
  • 会計事務従事者 0.56倍
  • 事務従事者 0.35倍
  • 一般事務従事者 0.28倍
  • 職業計(全体) 1.01倍
職業別の有効求人倍率。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月/常用・パート含む/全国計)。2026-08-13に当サイトが確認。

よく話題になる職種と並べると、次のようになります。

職業有効求人倍率
建設躯体工事従事者7.85倍
保安職業従事者(警備など)5.85倍
介護サービス職業従事者3.70倍
自動車運転従事者2.42倍

介護の3.70倍、ドライバーの2.42倍を上回ります。保安の5.85倍は、有効求人93,473件を有効求職15,980人で割った値です。なお、どの職種がどれだけ報道されているかは当サイトでは数えていないため、話題の量と倍率の関係についてはここでは扱いません。

有効求人93,473件に対して、有効求職は15,980人です

倍率が高い職種の中には求人数が小さいものもありますが、保安は違います。

有効求人は93,473件です。建設躯体工事従事者(19,335件)の約4.8倍あります。

当サイトが確認した20区分のうち、有効求人倍率が3倍以上の区分は7区分で、そのうち有効求人が5万件を超えるのは4区分です。倍率も高く、求人数もあるという組み合わせは、この統計の中では限られた区分に現れます。

倍率のもう一方の分母、探している側の人数も見ておきます。有効求職は15,980人で、介護サービス職業従事者(54,010人)の約30%です。介護は有効求人199,693件と保安より多いのに倍率が3.70倍で止まるのは、探している人数がこれだけ違うからです。

保安の5.85倍は、求人が多いことと求職者が少ないことの両方でできています。

パートを除くと6.05倍、新規求人倍率は9.39倍です

ここまでの5.85倍は、パートを含めた常用の数字です。統計には別の切り口も載っています。

パートを除く有効求人倍率 6.05倍 有効求人54,334件 ÷ 有効求職8,977人
新規求人倍率 9.39倍 その月に新しく出た求人と求職者の比。全職業は1.98倍

パートを除いても6.05倍で、含めた場合より0.20ポイント上がります。短時間の求人だけで倍率が高く出ているわけではないということです。ただし有効求人は54,334件まで減るので、求人の42%はパートを含む区分にあります。

新規求人倍率は9.39倍で、全職業の1.98倍を上回ります。有効(5.85倍)より新規のほうが高いという並びは、その月に新しく出た求人が、繰り越し分に上乗せされている状態と読めます。ただしこれは比の形からの読み取りで、個々の求人が埋まったかどうかを追った数字ではありません。

この検算の限界(3点)

倍率が高いことは、そのまま良い条件を意味しません。

  • 倍率は求人の中身を反映しません。 給与、勤務時間、夜勤や交代制の有無、屋外作業かどうかは含まれていません
  • 「保安職業従事者」は警備員だけの区分ではありません。 自衛官、司法警察職員、消防員なども含まれます
  • ハローワークの数字です。 民間の求人サイト経由の求人は含まれません

とくに1つ目は重要です。倍率が高い職種は、応募が集まりにくい理由がある場合もあります。 求人が多いこと自体は事実ですが、なぜ多いのかまではこの統計から分かりません。

建設躯体7.85倍・保安5.85倍・介護3.70倍・ドライバー2.42倍

当サイトはこれまで、いくつかの職種で同じ検算をしてきました。並べると次のようになります。

  • 建設躯体工事:7.85倍(記事)
  • 保安(警備など):5.85倍
  • 介護:3.70倍(記事)
  • ドライバー:2.42倍(記事)
  • ITエンジニア:1.33倍(記事)

同じ「人手不足」でも、水準は6倍近く違います。 全職業の一覧は職業別の有効求人倍率にまとめています。

まとめ:有効5.85倍・新規9.39倍・有効求人93,473件

  • 保安職業従事者の有効求人倍率は5.85倍。当サイトが同じ統計から確認した20区分は0.28倍から7.85倍に分布し、保安より高い値が出ているのは建設躯体工事従事者の7.85倍と土木作業従事者の5.97倍です
  • 介護3.70倍、ドライバー2.42倍を上回ります
  • 有効求人93,473件に対して有効求職15,980人。求人の多さと求職者の少なさの両方が倍率をつくっています
  • パートを除いても6.05倍、新規求人倍率は9.39倍です
  • 「人手が足りない」は、この職種では数字と一致します
  • ただし倍率は労働条件を表す数字ではなく、区分には自衛官・消防員なども含まれます

数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。

この職種の事業者について、厚生労働省への報告値を確認した記事

建設・施工管理の領域で、当サイトが 厚生労働省への報告値(就職者数・離職状況・手数料実績率など)と 公開されている口コミの件数を確認した事業者の記事です。 当サイトはいずれのサービスも利用していません。 並び順は記事ごとに機械的に入れ替えており、優劣を示すものではありません。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-09-08

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