「保育士が足りない」は本当か。転職先を選ぶときに効く数字だけ

まず、この記事の要点

「保育士が足りない」と言われます。保育士を含む区分の有効求人倍率は2.28倍。ただし保育士単独の倍率は公表されていません。入ったあとは紹介事業者側で6か月以内離職が22.6%。判断に効く順に並べます。

根拠と詳しい説明へ

筆者は保育の仕事をしていません。本記事は厚生労働省が公表している統計と、当サイトが集計した報告値を整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

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「保育士は人手不足だから転職先はある」と言われます。それが自分の場合にも当てはまるのかを確かめたい——この記事は、その判断に使える数字だけを並べたものです。先に3行でまとめます。

  • 求人のほうが多い状態です。 保育士を含む区分の有効求人倍率は2.28倍で、全職業の1.01倍を上回ります
  • ただし保育士だけの倍率は公表されていません。 上の数字は他の福祉専門職を含む区分の値です
  • 入ったあとの数字は保育士で絞れます。 紹介事業者を通した人のうち、22.6%が6か月以内に離職しています

これがあなたにとって何を意味するか。「足りない」は入口の話で、入ったあとが続くかどうかは別の数字が示しています。 入口だけを見て決めると、片側しか見ていないことになります。以下はその両方を、確かめられた順に並べたものです。

保育士単独の有効求人倍率は、公表されていません

厚生労働省が毎月出している職業別の有効求人倍率は、中分類までの表です。保育士はその中の「社会福祉専門職業従事者」に含まれており、保育士だけを取り出した行はありません。

この区分には、保育士のほかに福祉の相談・指導にあたる専門職なども含まれます。したがって、以下の数字は保育士だけの需給ではありません。

社会福祉専門職業従事者(保育士を含む) 2.28倍 有効求人116,734件 ÷ 有効求職51,111人
全職業の平均 1.01倍 有効求人2,020,228件 ÷ 有効求職2,002,441人

2.28倍でした。全職業の1.01倍に対して約2.3倍で、求人のほうが多い状態です。

対前年同月比は有効求人-0.5%、倍率-0.09ポイントで、ほぼ横ばいでした。

介護と比べると、どのあたりか

  • 建設躯体工事従事者 7.85倍
  • 土木作業従事者 5.97倍
  • 保安職業従事者 5.85倍
  • 建築・土木・測量技術者 4.96倍
  • 建設・採掘従事者 4.80倍
  • 機械整備・修理従事者 3.81倍
  • 介護サービス職業従事者 3.70倍
  • 医療技術者 2.92倍
  • 自動車運転従事者 2.42倍
  • 接客・給仕職業従事者 2.30倍
  • 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
  • 飲食物調理従事者 2.19倍
  • 営業職業従事者 2.01倍
  • 保健師,助産師,看護師 1.86倍
  • 製造技術者(開発) 1.81倍
  • 情報処理・通信技術者 1.33倍
  • 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
  • 会計事務従事者 0.56倍
  • 事務従事者 0.35倍
  • 一般事務従事者 0.28倍
  • 職業計(全体) 1.01倍
職業別の有効求人倍率。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月/常用・パート含む/全国計)。2026-08-13に当サイトが確認。

同じ福祉の領域で比べると、介護サービス職業従事者は3.70倍です。社会福祉専門職業従事者の2.28倍より高いことになります。

最も高い建設躯体工事従事者(7.85倍)とは3倍以上の差があります。

「足りない」という説明自体は数字と矛盾しませんが、他の職種と比べて突出しているわけではありません。

入ったあとのほうは、保育士に絞って見られます

入口の需給は粗い区分しかありませんが、転職サービス側のデータは保育士で絞り込めます。

有料職業紹介事業者は、取り扱う職種を届け出ており、「保育士・幼稚園教員」で検索できます。当サイトが該当する事業者を全件確認した結果です。

職種 確認した事業者 公表あり 公表なし 公表率 6か月以内の離職
保育士・幼稚園教員 25社 21社 4社 84.0% 22.6%
施設介護の職業 17社 6社 11社 35.3% 22.6%
厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年8月1日現在/2026年8月12〜13日確認)。「6か月以内の離職」は公表している事業者の合計値から当サイトが計算。

無期雇用で就職した人のうち、22.6%が6か月以内に離職しています。 当サイトがIT・コンサル領域で同じ計算をした値は1.7%でした。

一方で、保育は公表率が高いという特徴もあります。25社中21社が離職者数を出しており、介護(17社中6社)より材料がそろっています。

詳しくは保育士の転職エージェント、6か月以内の離職は2割を超えるにまとめています。

あなたの判断にどう効くか

  • 入口:保育士単独の倍率は公表されていない。含まれる区分は2.28倍で、求人のほうが多い
  • 入ったあと:保育士を扱う紹介事業者では、6か月以内の離職が22.6%
  • 比較材料:保育は公表している事業者が多く、サービスを数字で比べやすい領域

「足りない」という言葉は入口の話ですが、離職の多さも同時に起きています。 片方だけを見ると判断を誤ります。

この記事では言えないこと

  • 保育士単独の倍率は公的統計にありません。 上の2.28倍は他の福祉専門職を含む値です
  • 有効求人倍率はハローワークの数字です。 民間の紹介サービス経由の求人は含まれません
  • 離職者数は事業者の自己申告で、事業主全体の値です。 保育に限った数字ではありません
  • どちらの統計も、給与・勤務時間・配置基準といった条件は表しません

まとめ

  • 保育士を含む社会福祉専門職業従事者の有効求人倍率は2.28倍。求人のほうが多い状態です
  • ただし保育士単独の倍率は公表されていません
  • 介護3.70倍より低く、他職種と比べて突出してはいません
  • 保育士を扱う紹介事業者では、6か月以内の離職が22.6%です
  • 一方で公表率は25社中21社と高く、比較材料がそろっている領域です

数字は有効求人倍率が令和8年6月分(2026-07-31公表)、報告値が令和8年8月1日現在です。いずれも2026年8月12〜13日に確認しました。

次の一歩は、この3つのどれか

ここまでは保育士全体の数字です。実際に決めるのは会社単位なので、次に見る場所を3つ挙げます。当サイトはどれかを勧める立場にありません。

1. 会社単位の数字を見てから動く。 個別の事業者について、口コミの数え直しと厚労省への報告値を並べた記事があります。公式サイトへのリンクもそこに置いてあります。

2. 複数の会社を比べる。 材料の揃い方は会社ごとに違います。口コミが無い会社、報告値の直近が「-」の会社もあります。当サイトが数字を確認できた事業者は、ハブの比較表に同じ列で並べてあります。

3. 今は動かない。 上の数字は、いま辞めるべきかどうかを決めるものではありません。求人の多さも離職の多さも、あなたの職場の事情とは別の話です。判断を保留したまま、必要になったときに同じ手順で最新の値を確かめ直すこともできます。

この職種の事業者について、厚生労働省への報告値を確認した記事

介護・保育・医療の領域で、当サイトが 厚生労働省への報告値(就職者数・離職状況・手数料実績率など)と 公開されている口コミの件数を確認した事業者の記事です。 当サイトはいずれのサービスも利用していません。 並び順は記事ごとに機械的に入れ替えており、優劣を示すものではありません。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 職業紹介事業所検索(詳細検索:029 保育士・幼稚園教員/全国/令和8年8月1日現在) (2026-08-12 閲覧)
  3. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-09-21

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