「保育士が足りない」を、公的データで検算する

筆者は保育の仕事をしていません。本記事は厚生労働省が公表している統計と、当サイトが集計した報告値を整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

「保育士不足」は長く言われています。公的な統計で確かめようとしたところ、まず1つ、前提を書いておく必要がありました。

保育士単独の有効求人倍率は、公表されていません

厚生労働省が毎月出している職業別の有効求人倍率は、中分類までの表です。保育士はその中の「社会福祉専門職業従事者」に含まれており、保育士だけを取り出した行はありません。

この区分には、保育士のほかに福祉の相談・指導にあたる専門職なども含まれます。したがって、以下の数字は保育士だけの需給ではありません。

社会福祉専門職業従事者(保育士を含む) 2.28倍 有効求人116,734件 ÷ 有効求職51,111人
全職業の平均 1.01倍 有効求人2,020,228件 ÷ 有効求職2,002,441人

2.28倍でした。全職業の1.01倍に対して約2.3倍で、求人のほうが多い状態です。

対前年同月比は有効求人-0.5%、倍率-0.09ポイントで、ほぼ横ばいでした。

介護より低い水準です

  • 建設躯体工事従事者 7.85倍
  • 土木作業従事者 5.97倍
  • 保安職業従事者 5.85倍
  • 建築・土木・測量技術者 4.96倍
  • 建設・採掘従事者 4.80倍
  • 機械整備・修理従事者 3.81倍
  • 介護サービス職業従事者 3.70倍
  • 医療技術者 2.92倍
  • 自動車運転従事者 2.42倍
  • 接客・給仕職業従事者 2.30倍
  • 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
  • 飲食物調理従事者 2.19倍
  • 営業職業従事者 2.01倍
  • 保健師,助産師,看護師 1.86倍
  • 製造技術者(開発) 1.81倍
  • 情報処理・通信技術者 1.33倍
  • 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
  • 会計事務従事者 0.56倍
  • 事務従事者 0.35倍
  • 一般事務従事者 0.28倍
  • 職業計(全体) 1.01倍
職業別の有効求人倍率。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表」(令和8年6月/常用・パート含む/全国計)。2026-08-13に当サイトが確認。

同じ福祉の領域で比べると、介護サービス職業従事者は3.70倍です。社会福祉専門職業従事者の2.28倍より高いことになります。

最も高い建設躯体工事従事者(7.85倍)とは3倍以上の差があります。

「足りない」という説明自体は数字と矛盾しませんが、他の職種と比べて突出しているわけではありません。

入ったあとのほうは、保育士に絞って見られます

入口の需給は粗い区分しかありませんが、転職サービス側のデータは保育士で絞り込めます。

有料職業紹介事業者は、取り扱う職種を届け出ており、「保育士・幼稚園教員」で検索できます。当サイトが該当する事業者を全件確認した結果です。

職種 確認した事業者 公表あり 公表なし 公表率 6か月以内の離職
保育士・幼稚園教員 25社 21社 4社 84.0% 22.6%
施設介護の職業 17社 6社 11社 35.3% 22.6%
厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年8月1日現在/2026年8月12〜13日確認)。「6か月以内の離職」は公表している事業者の合計値から当サイトが計算。

無期雇用で就職した人のうち、22.6%が6か月以内に離職しています。 当サイトがIT・コンサル領域で同じ計算をした値は1.7%でした。

一方で、保育は公表率が高いという特徴もあります。25社中21社が離職者数を出しており、介護(17社中6社)より材料がそろっています。

詳しくは保育士の転職エージェント、6か月以内の離職は2割を超えるにまとめています。

つまり、こう整理できます

  • 入口:保育士単独の倍率は公表されていない。含まれる区分は2.28倍で、求人のほうが多い
  • 入ったあと:保育士を扱う紹介事業者では、6か月以内の離職が22.6%
  • 比較材料:保育は公表している事業者が多く、サービスを数字で比べやすい領域

「足りない」という言葉は入口の話ですが、離職の多さも同時に起きています。 片方だけを見ると判断を誤ります。

この検算の限界

  • 保育士単独の倍率は公的統計にありません。 上の2.28倍は他の福祉専門職を含む値です
  • 有効求人倍率はハローワークの数字です。 民間の紹介サービス経由の求人は含まれません
  • 離職者数は事業者の自己申告で、事業主全体の値です。 保育に限った数字ではありません
  • どちらの統計も、給与・勤務時間・配置基準といった条件は表しません

まとめ

  • 保育士を含む社会福祉専門職業従事者の有効求人倍率は2.28倍。求人のほうが多い状態です
  • ただし保育士単独の倍率は公表されていません
  • 介護3.70倍より低く、他職種と比べて突出してはいません
  • 保育士を扱う紹介事業者では、6か月以内の離職が22.6%です
  • 一方で公表率は25社中21社と高く、比較材料がそろっている領域です

数字は有効求人倍率が令和8年6月分(2026-07-31公表)、報告値が令和8年8月1日現在です。いずれも2026年8月12〜13日に確認しました。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 職業紹介事業所検索(詳細検索:029 保育士・幼稚園教員/全国/令和8年8月1日現在) (2026-08-12 閲覧)
  3. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

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