「自分の残業は多いほうだ」を、公的データで検算する

まず、この記事の要点

都道府県別の超過実労働時間は男性で月10〜16時間、全国は13時間でした。上下の幅6時間は1日あたり約18分です。同じ県の中の男女差(平均6.5時間)のほうが大きく出ました。47都道府県の表で自分の位置を確認できます。

根拠と詳しい説明へ

本記事は総務省統計局の統計ダッシュボード経由で取得した公的統計と、厚生労働省の参考統計表を、当サイトが整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

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「うちは残業が多い」と感じたとき、比べる相手がいません。同僚は同じ職場なので、多いか少ないかの基準になりません。

総務省の統計ダッシュボード経由で、都道府県別の超過実労働時間数(月間・いわゆる残業にあたる時間)を47件すべて取得しました。定義は「所定労働日における始業時刻から終業時刻までの時間以外の時間及び所定休日において実際に労働した時間数」です。

全国(男) 月13時間 2024年。20日勤務なら1日あたり約39分
全国(女) 月7時間 同じく1日あたり約21分
最も長い:群馬県・三重県 月16時間 最も短い沖縄県・高知県・山形県は月10時間

まず押さえておきたいのは、これが平均値だという点です。残業がまったくない人と、月に何十時間も働いている人が同じ袋に入って均されています。平均を自分の残業と直接比べると、多くの人は「自分のほうが多い」側に出ます。それは職場が特別だからとは限りません。

都道府県の差を、1日あたりに直してみる

上位5と下位5を並べます。

長いほう5残業(男)短いほう5残業(男)
群馬県月16時間山形県月10時間
三重県月16時間高知県月10時間
愛知県月15時間沖縄県月10時間
京都府月15時間北海道月11時間
広島県月15時間徳島県月11時間
2024年・社会・人口統計体系。統計ダッシュボード(総務省統計局)経由で2026-09-05に当サイトが取得。

最も長い群馬県・三重県と最も短い沖縄県・高知県・山形県の差は月6時間です。20日勤務で割ると1日あたり約18分になります。

さらに、47都道府県のうち30が全国13時間の±1時間以内に収まっています。全国を上回るのが22、同じ値が8、下回るのが17です。

ランキングにすれば順位は付きます。ただしこの幅では、住んでいる場所で自分の残業の多寡を説明するのは難しいという結果でした。

47都道府県ぜんぶ。自分の県を探してください

長い順に全件並べます。右端は全国(男)との差です。

都道府県残業(男)残業(女)全国(男)との差
群馬県16時間7時間+3時間
三重県16時間9時間+3時間
愛知県15時間8時間+2時間
京都府15時間7時間+2時間
広島県15時間7時間+2時間
埼玉県15時間8時間+2時間
滋賀県15時間8時間+2時間
栃木県15時間8時間+2時間
福岡県15時間7時間+2時間
兵庫県15時間7時間+2時間
茨城県14時間8時間+1時間
岡山県14時間6時間+1時間
宮城県14時間8時間+1時間
香川県14時間7時間+1時間
佐賀県14時間7時間+1時間
山口県14時間6時間+1時間
神奈川県14時間7時間+1時間
青森県14時間6時間+1時間
静岡県14時間7時間+1時間
千葉県14時間7時間+1時間
奈良県14時間7時間+1時間
福井県14時間7時間+1時間
愛媛県13時間6時間±0
岐阜県13時間7時間±0
熊本県13時間6時間±0
山梨県13時間6時間±0
石川県13時間7時間±0
大阪府13時間7時間±0
大分県13時間6時間±0
島根県13時間6時間±0
岩手県12時間5時間-1時間
宮崎県12時間5時間-1時間
鹿児島県12時間5時間-1時間
新潟県12時間7時間-1時間
長野県12時間7時間-1時間
鳥取県12時間6時間-1時間
東京都12時間9時間-1時間
富山県12時間7時間-1時間
福島県12時間6時間-1時間
和歌山県12時間6時間-1時間
秋田県11時間5時間-2時間
長崎県11時間5時間-2時間
徳島県11時間6時間-2時間
北海道11時間6時間-2時間
沖縄県10時間6時間-3時間
高知県10時間5時間-3時間
山形県10時間6時間-3時間
全国13時間7時間—
2024年・月間の超過実労働時間数。統計ダッシュボード(総務省統計局)経由で2026-09-05に当サイトが取得。

自分の県が上のほうにあっても下のほうにあっても、全国との差は最大で3時間です。月3時間は、20日勤務で1日あたり約9分です。

同じ県の中の男女差のほうが、県どうしの差より大きく出ました

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

同じデータには男女の別があります。県ごとに「男の残業 − 女の残業」を計算すると、こうなりました。

比べ方開き
47都道府県で割る(男)月6時間(沖縄県・高知県・山形県10時間 〜 群馬県・三重県16時間)
47都道府県で割る(女)月4時間(5時間 〜 東京都・三重県9時間)
同じ県の中の男女差平均 月6.5時間(東京都3時間 〜 群馬県9時間)
2024年。男女差は当サイトが同じ系列の男女の値を引き算したもの。統計ダッシュボード(総務省統計局)経由。

全国でも男13時間・女7時間で、差は月6時間あります。県どうしの開き(月6時間)と同じか、それ以上です。

「どの県にいるか」より「男女どちらとして集計されているか」のほうが、数字を大きく動かしています。

なぜそうなるかは、この数字からは分かりません。就いている職種の構成が違うのか、雇用形態の構成が違うのか、家庭内の分担の影響なのか、当サイトには判別できません。いずれも推測の域を出ません。言えるのは、地域差だけを見て自分の残業を位置づけるのは足りない、という確認までです。

残業が長い県は、所定内の労働時間がむしろ短めでした

同じ体系には実労働時間数もあります。定義は「所定内実労働時間数+超過実労働時間数」なので、引き算すれば所定内の時間が出ます。

残業の長い10県と短い10県で比べました。

グループ(男)残業実労働時間差し引いた所定内
残業が長い10県月15.2時間月177.2時間月162.0時間
残業が短い10県月11.0時間月174.2時間月163.2時間
残業は2024年(暦年)、実労働時間は2024年度。集計期間が違うため、所定内は当サイトが参考として差し引いた概算です。統計ダッシュボード(総務省統計局)経由。

残業の差は月4.2時間ありますが、実労働時間の差は月3.0時間にとどまります。差し引いた所定内は、残業が長い10県のほうが1.2時間短く出ました。

残業の長さが、そのまま働いている時間の合計の長さにはなっていません。ただし残業と実労働時間は集計期間が違うので、この引き算は目安までです。

残業は職種別には取れません。取れるのは求人の集まり方です

読者が実際に動かせるのは、住む場所より職種のほうだと思います。ところが当サイトの手元に、職種別の残業時間はありません。この系列は都道府県と男女でしか割れていません。

職種別に取れているのは、厚生労働省の参考統計表にある有効求人倍率だけです。残業とは別の指標ですが、職種で数字がどれだけ動くかは分かります。

職業有効求人倍率有効求人有効求職
自動車運転従事者2.42倍98,721件40,755人
保健師,助産師,看護師1.86倍98,238件52,925人
情報処理・通信技術者1.33倍51,768件38,919人
接客・給仕職業従事者2.30倍76,566件33,322人
職業計1.01倍2,020,228件2,002,441人
令和8年6月分・常用(パート含む)・全国計。常用(パート含む)/全国計。平成21年12月改定の「日本標準職業分類」に基づく区分。

自動車運転従事者は2.42倍、保健師,助産師,看護師は1.86倍、情報処理・通信技術者は1.33倍、接客・給仕職業従事者は2.30倍。職業計の1.01倍を挟んで散らばっています。

都道府県別の残業が月10〜16時間の幅に収まっていたのに対して、職種で割ると数字はこれだけ動きます。ただしこれは求人の集まり方であって、残業の長さではありません。求人が多い職種の残業が長いのか短いのかは、この数字からは分かりません。職種ごとの労働時間を知りたい場合は、応募先の求人票に書かれている所定労働時間と時間外労働の記載を、個別に確認するのが確実です。

この検算の限界

  • 平均値なので、分布は分かりません。残業ゼロの人と長時間の人が同じ平均に入っています。都道府県ごとの中央値や、月45時間を超える人の割合は、この系列からは取り出せません。自分の残業が「全国平均より多い」ことは、それ自体では異常を意味しません
  • この系列がどの事業所規模・どの雇用形態を集計しているかまでは、当サイトは確認できていません。統計ダッシュボードの指標情報から確認できたのは、上に引用した定義と、社会・人口統計体系という出典名、年次・原数値という条件までです。パートタイムで働く人が多く含まれていれば、平均は下がります
  • 労働時間の数字であって、賃金の数字ではありません。その時間に対して割増賃金が支払われたかどうかは、この統計からは分かりません。また記録に残っていない時間まで捉えているかどうかも分かりません
  • 2024年の1年分だけです。当サイトのデータ層は最新年の値しか持っていないため、前年からどう動いたかはこの記事では扱えません。年によって順位が入れ替わる可能性があります
  • 都道府県別と職種別は、別の統計です。残業は社会・人口統計体系(2024年)、有効求人倍率は一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表(令和8年6月分)で、調査も時点も違います。「◯◯県の◯◯職の残業時間」は当サイトの手元のデータでは出せません
  • 県ごとの産業構成を揃えていません。製造業の比率が高い県と、観光業やサービス業の比率が高い県では、母集団の職種構成そのものが違います。地域差として見えているものの一部は、職種構成の差かもしれません

まとめ

  • 都道府県別の超過実労働時間は、全国が男月13時間・女月7時間。男性で最も長い群馬県・三重県が月16時間、最も短い沖縄県・高知県・山形県が月10時間でした
  • 上下の幅は月6時間。20日勤務なら1日あたり約18分です。47都道府県のうち30が全国の±1時間以内に収まっています
  • 同じ県の中の男女差は平均で月6.5時間(東京都3時間〜群馬県9時間)。県どうしの開きより大きく出ました
  • 残業が長い10県は、差し引いた所定内の労働時間がむしろ1.2時間短く出ました。残業の長さは、働いている時間の合計の長さと同じではありません
  • 職種別の残業時間は当サイトの手元にありません。職種で取れているのは有効求人倍率で、自動車運転従事者2.42倍から接客・給仕職業従事者2.30倍まで散らばっています

数字は統計ダッシュボード(総務省統計局)から2026-09-05に、職業別は一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表から2026-08-13に取得したものです。どちらも更新される統計のため、当サイトも定期的に取り直しています。

出典

  1. 統計ダッシュボード(総務省統計局) (2026-09-05 閲覧)
  2. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  3. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-09-16

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