「エージェントの実績は比較できる」を、公的データで検算する

筆者は掲載している事業者を利用していません。本記事は厚生労働省が公表している報告値を確認・集計したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

転職サービスを比べるとき、「実績で選べばいい」という説明があります。

有料職業紹介事業者は、就職者数と早期離職者数を厚生労働省へ報告することになっています。ならば実績で比較できるはずです。

5職種の事業者を78社確認したところ、そもそも数字を出している事業者の割合が、職種によって大きく違いました。

最も公表している:保育士・幼稚園教員 84.0% 25社中21社
最も公表していない:看護師、准看護師 30.0% 10社中3社
5職種の合計 57.7% 78社中45社

約2.8倍の開きがあります。同じ制度のもとで、同じ様式の報告です。

職種別に並べる

職種 確認した事業者 公表あり 公表なし 公表率 6か月以内の離職
保育士・幼稚園教員 25社 21社 4社 84.0% 22.6%
建築・土木・測量技術者 15社 10社 5社 66.7% 6.4%
情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発) 11社 5社 6社 45.5% 5.4%
施設介護の職業 17社 6社 11社 35.3% 22.6%
看護師、准看護師 10社 3社 7社 30.0% 6.5%
厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年8月1日現在/2026年8月12〜13日確認)。「6か月以内の離職」は、公表している事業者の合計値から当サイトが計算(離職者数 ÷ 無期雇用の就職者)。

「報告なし」は0人という意味ではありません。数字が存在しない状態です。

離職率のほうは、きれいに二分される

公表率はばらばらですが、公表している範囲での離職率を見ると別の姿になります。

職種公表率公表分の離職率
保育士・幼稚園教員84.0%22.6%
施設介護の職業35.3%22.6%
看護師、准看護師30.0%6.5%
建築・土木・測量技術者66.7%6.4%
情報処理・通信技術者(ソフトウェア開発)45.5%5.4%
公表している事業者の合計値から当サイトが計算。厚生労働省 人材サービス総合サイト(令和8年8月1日現在)。

2職種(保育士・幼稚園教員・施設介護の職業)が15%を超え、残る3職種は5〜6%台に収まっています。中間がありません。

この差が何を意味するかは、この数字だけでは分かりません。現場の定着しやすさの違いかもしれませんし、報告のしかたの違いかもしれません。当サイトはどちらとも判断していません。

公表率が高い職種でも、規模の大きい事業者は出していない

職種による差より大きいのは、規模による差です。当サイトが別途介護と看護の公表状況で確認したとおり、無期雇用の就職者が1,000人以上の事業者に絞ると、公表率はどの職種でも落ちます。

建築・土木・測量技術者の領域でも同じ構図でした。

事業主 就職者 うち無期 6か月以内の離職 割合
パーソルキャリア 60,307 57,961 報告なし
クイック 10,905 10,036 報告なし
レバレジーズ 5,067 5,060 報告なし
建築・土木・測量技術者を扱う事業者のうち、就職者数の上位。いずれも離職者数は「報告なし」。

表の数値は各事業者が厚生労働省へ報告した自己申告値で、国が検証・監査したものではありません。 「報告なし」は0人を意味しません。 許可は事業主単位のため、複数のサービスを運営する事業者の値は合算です。

一方、数字を出している事業者もあります。

事業主 就職者 うち無期 6か月以内の離職 割合
キャリアスタート 2,905 2,905 341 11.7%
ブリッジワン 1,637 1,637 181 11.1%
X Mile 4,631 4,631 364 7.9%
HR 3,556 3,556 278 7.8%
ジールコミュニケーションズ 2,124 2,124 28 1.3%
同じ職種で、離職者数まで公表している事業者。

表の数値は各事業者が厚生労働省へ報告した自己申告値で、国が検証・監査したものではありません。 「報告なし」は0人を意味しません。 許可は事業主単位のため、複数のサービスを運営する事業者の値は合算です。

なお、規模が大きいと必ず公表しないわけではありません。情報処理・通信技術者の領域では、当サイトが確認した中で最大規模の事業者(就職者87,754人)が離職者数を公表しています(インディードリクルートパートナーズ)。

「実績で比較できる」は、どこまで本当か

整理すると、次のようになります。

  • 公表している事業者どうしなら、この指標で並べられます。 ただし数字は自己申告で、国が検証したものではありません
  • 公表していない事業者は、この指標では比較できません。 5職種合計で78社中33社が該当します
  • 職種をまたいで比べることはできません。 公表率も離職率も職種で水準が違います
  • 「0人」と「報告なし」は別物です。 混ぜて平均を取ると、実態と違う数字になります

つまり「実績で選ぶ」は、比較できる相手が限られる方法です。候補の事業者が数字を出していなければ、この材料は使えません。

この検算の限界

  • 自己申告です。 事業者が自分で入力した値で、国が検証・監査したものではありません
  • 就職者数・離職者数は事業主全体の値です。 職種別ではありません。職種で分かれているのは手数料実績率だけなので、複数の職種を扱う事業者ほど他職種の分が混ざります
  • 母数は当サイトが取得できた範囲です。 各職種について無期雇用の就職者が多い順に確認しており、小規模の事業者は含んでいません
  • 就職者と離職者は同じ集団を追跡した値とは限りません。 前年度に就職した人の離職が計上される場合があるため、割合は厳密な定着率ではなく目安です

まとめ

  • 5職種78社のうち、早期離職者数を公表しているのは45社(57.7%)です
  • 公表率は保育士・幼稚園教員の84.0%から看護師、准看護師の30.0%まで、約2.8倍の開きがあります
  • 公表分の離職率は15%超の2職種と5〜6%台の3職種に分かれ、中間がありません
  • 「実績で比較する」は、相手が数字を出している場合にだけ使える方法です

数字はいずれも2026年8月12〜13日時点のものです。同じ手順は早期離職率を公表しているのは誰かに書いています。

出典

  1. 職業紹介事業所検索(詳細検索:職種別/手数料実績率 0〜100%/全国) (2026-08-13 閲覧)
  2. 職業紹介事業の運営に関する情報提供(職業安定法) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

当サイトは求人情報の提供・職業紹介・応募の取次ぎを一切行いません。 また、個別の法律相談・労務相談への回答も行いません。 具体的な労働問題については、弁護士、社会保険労務士、労働基準監督署、 総合労働相談コーナーなど権限のある窓口へご相談ください。