「求人倍率◯倍」の◯には2種類ある
本記事は厚生労働省が公表している統計を、当サイトが比較・整理したものです。数値の加工は行っていません。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。
転職の記事でよく見る「求人倍率◯倍」という数字には、同じ統計の中に2種類あります。
有効求人倍率と、新規求人倍率です。値は同じではありません。
全職業では1.01倍と1.98倍。約2.0倍の開きがあります。
確認した全職業で、新規のほうが高い
当サイトが職業別に確認した20職業のうち、新規求人倍率のほうが高かったのは20職業です。例外はありませんでした。
つまり、新規求人倍率を引用すれば、どの職業でも数字は大きくなります。
「人手不足」を裏づけたいときに新規のほうを引き、「厳しい」と言いたいときに有効のほうを引く、ということが同じ統計の中でできてしまいます。
開き方は職業によって違う
差の大きさは一律ではありません。新規求人倍率が有効求人倍率の何倍かを計算して並べました。
| 職業 | 有効求人倍率 | 新規求人倍率 | 新規 ÷ 有効 |
|---|---|---|---|
| 製造技術者(開発) | 1.81倍 | 4.17倍 | 2.30 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.33倍 | 3.02倍 | 2.27 |
| 一般事務従事者 | 0.28倍 | 0.63倍 | 2.25 |
| 事務従事者 | 0.35倍 | 0.77倍 | 2.20 |
| 社会福祉専門職業従事者 | 2.28倍 | 4.30倍 | 1.89 |
| 製造技術者(開発を除く) | 0.72倍 | 1.33倍 | 1.85 |
| 会計事務従事者 | 0.56倍 | 1.03倍 | 1.84 |
| 建築・土木・測量技術者 | 4.96倍 | 9.12倍 | 1.84 |
| 接客・給仕職業従事者 | 2.30倍 | 4.12倍 | 1.79 |
| 飲食物調理従事者 | 2.19倍 | 3.92倍 | 1.79 |
| 医療技術者 | 2.92倍 | 5.19倍 | 1.78 |
| 営業職業従事者 | 2.01倍 | 3.50倍 | 1.74 |
| 機械整備・修理従事者 | 3.81倍 | 6.49倍 | 1.70 |
| 建設・採掘従事者 | 4.80倍 | 8.17倍 | 1.70 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.70倍 | 6.26倍 | 1.69 |
| 保健師,助産師,看護師 | 1.86倍 | 3.02倍 | 1.62 |
| 保安職業従事者 | 5.85倍 | 9.39倍 | 1.61 |
| 土木作業従事者 | 5.97倍 | 9.36倍 | 1.57 |
| 建設躯体工事従事者 | 7.85倍 | 12.08倍 | 1.54 |
| 自動車運転従事者 | 2.42倍 | 3.60倍 | 1.49 |
最も開くのが製造技術者(開発)で2.30倍、最も開かないのが自動車運転従事者で1.49倍でした。
ITの例
具体例を1つ挙げます。
情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.33倍です。全職業の1.01倍を少し上回る程度で、突出した数字ではありません。
同じ職業の新規求人倍率は3.02倍。介護サービス職業従事者の有効求人倍率(3.70倍)に迫る値です。
「ITエンジニアは3.02倍」と書くことも、「1.33倍」と書くことも、どちらも同じ月の同じ統計からできます。一般事務従事者も同じ構図です。有効では0.28倍と低いのに、新規では0.63倍まで上がります。
なぜ差が出るのかは、ここでは説明しません
2つの指標の定義の違いによるものですが、当サイトは厚生労働省の用語の定義を一次資料で確認できていないため、仕組みの説明はしません。
定義は上の出典にある「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」のページから確認できます。推測で説明を書くより、そちらを見てもらうほうが正確です。
ここで示せるのは、2つの数字が存在し、値が違い、確認した全職業で新規のほうが高いという事実だけです。
読者にとっての実際的な結論
3つあります。
- 「求人倍率◯倍」を見たら、有効か新規かを確かめてください。 出典が書かれていない記事では判別できません
- 比較するなら同じ種類どうしで。 ある職業の新規と別の職業の有効を並べると、差が実際より大きく見えます
- どちらが正しいという話ではありません。 別の指標です。当サイトの職業別の有効求人倍率は有効求人倍率で統一しています
この検算の限界
- ハローワークの数字です。 転職サービスや求人サイト経由の求人は含まれません
- 職業は当サイトが確認した20区分だけです。 全職業を網羅したものではありません
- 1か月分の断面です。 月によって開き方は変わります
- 差が生じる仕組みは説明していません。 事実の提示にとどめています
まとめ
- 同じ統計に「有効求人倍率」と「新規求人倍率」があり、値が違います
- 全職業では1.01倍と1.98倍で、約2.0倍の開きがあります
- 当サイトが確認した20職業すべてで、新規のほうが高い値でした
- 開き方は職業で違い、製造技術者(開発)が2.30倍、自動車運転従事者が1.49倍です
数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。
出典
- 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
- 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)
最終更新:2026-08-13
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