「事務職は求人がない」を、公的データで検算する

筆者は事務職ではありません。本記事は厚生労働省が公表している統計を確認・整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。

「事務職は人気で、求人が少ない」という話はよく聞きます。これは公的な統計で確かめられます。

一般事務は0.28倍。求職者3.5人に求人1件

一般事務従事者 0.28倍 有効求人120,372件 ÷ 有効求職425,688人
全職業の平均 1.01倍 有効求人2,020,228件 ÷ 有効求職2,002,441人

一般事務従事者の有効求人倍率は0.28倍です。求人1件に対して求職者が約3.6人いる計算になります。

全職業の1.01倍と比べても、当サイトが確認した職業の中で最も低い部類です。「求人が少ない」という認識は、数字のうえで正しいと言えます。

有効求職425,688人という規模も、他の職業と比べて突出しています。求人が少ないというより、求職者が多いというほうが実態に近い数字です。

ただし「事務」をひとくくりにすると見誤ります

ここが本題です。同じ「事務従事者」の中でも、中分類によって倍率がまったく違います。

中分類有効求人有効求職有効求人倍率
外勤事務従事者719件260人2.77倍
運輸・郵便事務従事者6,325件2,601人2.43倍
生産関連事務従事者13,993件10,961人1.28倍
営業・販売事務従事者16,513件19,202人0.86倍
会計事務従事者17,839件32,122人0.56倍
一般事務従事者120,372件425,688人0.28倍
事務用機器操作員4,908件18,783人0.26倍
一番高い外勤事務従事者が2.77倍、一番低い事務用機器操作員が0.26倍。約11倍の差があります。

上位の外勤事務従事者と運輸・郵便事務従事者は、全職業の平均(1.01倍)を上回っています。「事務職は求人がない」は、この2つには当てはまりません。

一方で、求職者が集中しているのは一般事務です。有効求職425,688人は、この表の他の中分類を全部足しても届かない規模です。

つまり、何が起きているか

数字から読み取れるのはこうです。

  • 「事務」という括りで求人が少ないのではなく、一般事務に求職者が集中している
  • 運輸・郵便事務や生産関連事務など、求人のほうが多い事務職も存在する
  • ただしそれらは求人数自体が小さい(運輸・郵便事務従事者で6,325件)ので、選択肢が多いわけではない

「事務職希望」で探すときに、中分類まで下ろして見ると状況が変わる可能性があります。少なくとも、一般事務だけを見て「事務は無理だ」と結論づけるのは早いと言えます。

求人は減っています

一般事務の有効求人は、対前年同月比で-7.1%です。事務従事者全体では-6.8%、有効求人倍率は-0.04ポイント下がっています。

参考までに、同じ期間でITエンジニア(情報処理・通信技術者)の有効求人は-5.7%、全職業では-3.4%でした。事務の減り方は、全職業の平均より大きいことになります。

この検算の限界

3点あります。

1. ハローワークの数字です

一般職業紹介状況は、公共職業安定所(ハローワーク)の求人・求職を集計したものです。転職エージェントや求人サイト経由の求人は含まれません。

事務職は求人サイト経由の応募も多いと考えられるため、この統計だけで市場全体を語ることはできません。

2. 倍率は「就職しやすさ」ではありません

求人と求職者の数の比であって、求人の中身(求められる経験、年収、勤務地)は反映されません。

倍率が高くても、条件が合わなければ選択肢にはなりません。

3. 「一般事務」も幅の広い区分です

中分類まで下ろしても、まだ幅があります。特定の業界や業務内容の需給を表す数字ではありません。

自分で確認する方法

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を開く
  2. 「結果の概要」から最新月の報道発表ページへ進む
  3. 「参考統計表」のPDFを開く

報道発表ページ本文に載っているのは全職業の合計だけです。中分類までの内訳は参考統計表のPDFにしかありません。

まとめ

  • 一般事務従事者の有効求人倍率は0.28倍。求人1件に対して求職者が約3.6人います
  • ただし同じ「事務」でも外勤事務従事者は2.77倍、運輸・郵便事務従事者は2.43倍で、全職業平均を上回ります
  • 中分類の最大と最小で約11倍の差があります
  • 一般事務の有効求人は前年同月比-7.1%で、全職業(-3.4%)より減り方が大きい状態です
  • この統計はハローワーク経由の数字で、民間サービスの求人は含みません

数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。

出典

  1. 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
  2. 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)

最終更新:2026-08-13

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