会計事務(経理)の有効求人倍率は0.56倍・前年比7.9%減|「手に職だから安定」を検算
まず、この記事の要点
会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍で、求人1件に対して求職者が約1.8人います。新規求人倍率は1.03倍。有効求人は前年比7.9%減で、全職業の3.4%減より減り方が大きい職種です。
根拠と詳しい説明へ筆者は経理職ではありません。本記事は厚生労働省が公表している統計を確認・整理したものです。 このページに広告は掲載していません(広告掲載方針)。
「経理は手に職だから食いっぱぐれない」「簿記を取れば潰しがきく」という説明はよく見かけます。
厚生労働省の統計で確認したところ、求人と求職者の数の比という一点では、この説明とは合いませんでした。
会計事務従事者の有効求人倍率は、全職業の約半分です
0.56倍。1倍を下回っており、求人より求職者のほうが多い状態です。求人1件に対して約1.8人が探している計算になります。
全職業の1.01倍と比べると、およそ半分の水準です。
実数では、有効求人17,839件に対して有効求職32,122人です。差し引き14,283人分、求職者のほうが多い計算になります。
会計事務の有効求人は前年比で減少。全職業より減り方が大きい
もう1つ、はっきりした数字があります。
会計事務従事者の有効求人は、対前年同月比で-7.9%でした。
当サイトが前年比を確認できた10職種を、減り方の大きい順に並べると次のようになります。数字はそのまま並べるだけで、順位づけや評価はしていません。
| 職業 | 有効求人の対前年同月比 |
|---|---|
| 会計事務従事者 | -7.9% |
| 一般事務従事者 | -7.1% |
| 事務従事者 | -6.8% |
| 情報処理・通信技術者 | -5.7% |
| 建築・土木・測量技術者 | -0.7% |
参考までに、全職業は-3.4%、ITエンジニアは-5.7%でした。
倍率が低く、かつ求人が減っているという組み合わせです。「安定している」という言葉から受ける印象とは違います。
事務職の中で比べると、会計事務の有効求人倍率は一般事務を上回ります
- 建設躯体工事従事者 7.85倍
- 土木作業従事者 5.97倍
- 保安職業従事者 5.85倍
- 建築・土木・測量技術者 4.96倍
- 建設・採掘従事者 4.80倍
- 機械整備・修理従事者 3.81倍
- 介護サービス職業従事者 3.70倍
- 医療技術者 2.92倍
- 自動車運転従事者 2.42倍
- 接客・給仕職業従事者 2.30倍
- 社会福祉専門職業従事者 2.28倍
- 飲食物調理従事者 2.19倍
- 営業職業従事者 2.01倍
- 保健師,助産師,看護師 1.86倍
- 製造技術者(開発) 1.81倍
- 情報処理・通信技術者 1.33倍
- 製造技術者(開発を除く) 0.72倍
- 会計事務従事者 0.56倍
- 事務従事者 0.35倍
- 一般事務従事者 0.28倍
- 職業計(全体) 1.01倍
事務の中で比べると、位置づけが変わります。一般事務が0.28倍なのに対し、会計事務は0.56倍で、約2.0倍あります。
| 中分類 | 有効求人 | 有効求職 | 有効求人倍率 |
|---|---|---|---|
| 外勤事務従事者 | 719件 | 260人 | 2.77倍 |
| 運輸・郵便事務従事者 | 6,325件 | 2,601人 | 2.43倍 |
| 生産関連事務従事者 | 13,993件 | 10,961人 | 1.28倍 |
| 営業・販売事務従事者 | 16,513件 | 19,202人 | 0.86倍 |
| 会計事務従事者 | 17,839件 | 32,122人 | 0.56倍 |
| 一般事務従事者 | 120,372件 | 425,688人 | 0.28倍 |
| 事務用機器操作員 | 4,908件 | 18,783人 | 0.26倍 |
会計事務は7区分中5番目です。
「事務職の中では相対的に有利」という言い方なら、数字と合います。 「手に職だから安定」という一般職業との比較になると、合いません。
会計事務の新規求人倍率。有効求人倍率とは像が変わります
同じ統計には「新規求人倍率」も載っています。有効求人倍率が繰り越し分を含んだ在庫の比であるのに対し、新規求人倍率はその月に新しく出た求人と、その月に新しく登録した求職者の比です。
新規で見ると1.03倍で、1倍をわずかに超えます。ただし全職業の新規求人倍率は1.98倍なので、新規で比べても全職業のおよそ半分という位置づけは変わりません。
有効0.56倍・新規1.03倍という開きは、その月に出た求人はひととおり動くものの、決まらずに繰り越される求職者が積み上がっている状態と読めます。ただしこれは比の形からの読み取りで、個々の求職者が決まったかどうかを追った数字ではありません。
資格職なのに会計事務の有効求人倍率が全職業を下回るのはなぜか
会計事務従事者は0.56倍、全職業は1.01倍でした。当サイトは理由を確かめる材料を持っていません。推測になるので断定はしませんが、次のような事情は考えられます。
- 経理・会計の求人は民間の転職サービス経由が多く、ハローワークに出にくい
- 簿記などの資格保有者が多く、求職者側の供給が厚い
- 一社あたりの必要人数が限られている
いずれも当サイトの推測です。 確認できるのは「ハローワークの求人・求職ではこの比になっている」という事実だけです。
会計に特化した転職サービスもあります
会計・経理領域に特化した人材紹介サービスは実在します。当サイトが確認した中では、株式会社MyVisionが会計・経理向けの「ツインプロ」を運営しています(記事)。
こうした特化型サービスの求人はハローワークの統計に含まれないため、この記事の倍率が経理職の転職市場全体を表しているわけではありません。
この検算の限界
- ハローワークの数字です。 経理・会計は民間サービス経由の転職が多いと考えられ、市場全体を表すものではありません
- 「会計事務従事者」は経理事務・出納事務などをまとめた区分です。 経験年数や、税理士・公認会計士といった資格職とは別です
- 倍率は求人の中身を反映しません。 給与、企業規模、求められる経験は含まれていません
- 有効求人倍率と新規求人倍率は別の指標です。 有効は繰り越しを含む在庫の比、新規はその月に出た分だけの比で、同じ職種でも値が変わります
- 1か月分の断面です
まとめ:会計事務の有効求人倍率・新規求人倍率・前年比
- 会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍。求人1件に対して求職者が約1.8人います
- 全職業(1.01倍)の約半分の水準です
- 新規求人倍率は1.03倍。全職業の新規(1.98倍)と比べると、こちらも約半分です
- 有効求人は前年比-7.9%。全職業の-3.4%より減り方が大きい値です
- ただし事務の中では5番目で、一般事務(0.28倍)の約2.0倍あります
- ハローワークの数字なので、民間サービス経由の求人は含まれていません
数字は令和8年6月分(2026-07-31公表)を、2026-08-13に確認したものです。全職業の一覧は職業別の有効求人倍率にあります。
この職種の事業者について、厚生労働省への報告値を確認した記事
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出典
- 一般職業紹介状況(令和8年6月分)参考統計表 (2026-08-13 閲覧)
- 一般職業紹介状況(職業安定業務統計) (2026-08-13 閲覧)
最終更新:2026-09-06
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